蟲 第一話
(夢を創作しています)
ある日、オレは朝起きてみると、一匹のダンゴムシになっているのであった。
手なのか、足なのか、どっちでもいいが、とにかくたくさん蠢いていて、自分の手足なんだが、なんだか気持ちが悪い。
しかし、どうしようもないのであった。
オレは、自宅の2階で一人で寝ていたのだが、一匹の蟲になってしまった。
>>これは悪い夢だろう・・・
そう思い、一眠りすることにした。
・・・・
寝苦しい・・・
起きてみると、やはり、オレは一匹の蟲なのであった。
>>やはり、夢ではないらしい。
よし!夢ではないことは分った。しかし、これからどうすれば良いのだろうか?
オレは妹と二人暮らしなのだ。
妹は1階で寝ている。
朝起きて、朝食を作り出し、7時半にオレを起こしに2階に上がってくる。
時計を見ると、7時25分だ・・・
やばい・・・
どうしよう。
・・・
しかし、どうすることもできず、隠れようと思い、布団の中に隠れてみたが、どうやっても、蟲だということがばれてしまう。
しかも、オレは話せるのか?
それも問題だ。
2階に上がってきて、オレを見つけて、カフカの小説の『変身』みたいにリンゴをぶつけることなんてしないだろうか?
そうすると、オレの外骨格は破壊され、リンゴが内臓へと至り、腐敗し、ゆっくりと緩慢な死が訪れるのであろうか?
なんてことを考えていたら、既に7時半になっているではないか!!
しまった!!
何の解決の糸口も見つけ出せないまま、5分が経過し、階段を上ってくる妹の足音が聞こえてくる。
>>やばい!!どうしよっ!
人間の声にはならない、シュ〜、シュ〜という音しか発せられない。
と、とにかく、ダンゴムシだから丸くなって、毛布の中に隠れておこう。
モゾモゾと毛布の中に潜り込んで丸くなった。
「お兄ちゃん〜朝だよ!ご飯できたよ!」
そう、ドア越しに呼びかける妹。
>>ああ、可愛そうな妹よ。お前は確か、小さい時から虫が嫌いだったよな!ダンゴムシは好きだったみたいだが、こんなどう見ても、1m近くある巨大なダンゴムシを見たら、失神するだろうな〜。部屋には入らない方がいいと思うぞ。オレは病気だ。蟲になってしまう症候群みたいなものに罹ってしまったようだ。病院に行くから、朝飯はいらないぞ。
やはり、人間の声にはならない、シュ〜、シュ〜という音しか発せられない。
様子がおかしいと思ったのか、妹はドアをゆっくりと開けた。
「お兄ちゃん、今日仕事じゃないの!遅刻するよ!」
そう言って、ダンゴムシが隠れているベッドに近づいてくる。
>>ああ、見ない方がお前のためだ。来るんじゃない!
やはり、人間の声にはならない、シュ〜、シュ〜という音しか発せられない。
「もう〜」
そう言って、毛布に手をかけた妹よ、お前はこれから多分失神するだろう。
だが、オレが悪いんじゃない。
神様がいけないんだ。
いきなり訳もなく蟲にしてしまう・・・
「お兄ちゃん、起きて!!!」
・・・・
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
・・・・
・・・
「ぎゃぁあああああああああああああ〜〜〜〜」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
どしん。
多分、妹が倒れた音だろう。
>>なぁ、言ったじゃないか。見たら後悔するって。お前じゃなくても、こんな巨大なダンゴムシは気持ちが悪いものな〜。さて、これからどうするか?
オレは、妹の寝顔?倒れ顔を見ながら、今後の検討策を考え出した。
(つづく)