スキッパの女

(昔見た夢を創作して公開しております)


夢を見た。

とにかく、何か本が読みたいと思い、本屋へ駆け込んだ俺。

雑誌を眺め回して、うろうろ、1時間・・・

疲れてきたので、帰ろうと思い、本屋から出ると、そこに一人の女が立っている。

女は、俺をにらみながら、何か分からぬことをつぶやいている。

何のことだか、さっぱり分からない。

そして、女は徐に、そばにあったドラム缶をかつぎあげた。

どう見てもドラム缶である。それを華奢な女が持ち上げる。

すばらしくしなやかな動きで・・・

持ち上げられたドラム缶・・・プルプル震える二の腕・・・

睨む合いが続く・・・瞬きもせず、女と俺は睨む合う。

―目を離せばやられる・・・−

たしか、森の中で動物に遭遇したときに、目を逸らしてはいけないのだと聞いたことがある。

俺はそれを思い出し、とにかく女から目を離さない。

いや、離せない!

身構える、なぜか、ブルース・リーのように軽くステップをしながら、相手の様子を伺う。

沈黙の瞬間・・・・

俺の額から一滴の汗が、まるでスローモーションのように落ち
ていく。

そんな瞬間!!!

女は動いた!!

ドラム缶を俺に向かって投げやがったのだ!!

なぜか、俺はドラム缶に向かって飛び始めた!

そして、カンフーキックをドラム缶にかますが、見事弾かれ、ドラム缶の下敷
きになる。

―うげぇっ!!

口から血を流しながら、立ち上がると、女も口から血を流している。

―グフッ!

女は口から鮮血をだし、片膝が崩れ落ちた。

そして、白い物体が地面に落ちて、俺のところまで転がってきた。

俺はそれを拾い上げた。

なっ、なんと、歯だった。

女は歯を折ったのだった。

―見事だ!

女はそう言って、にっこりと笑った。

女は、スキッパになっていた。

こんな夢を見た。